長い夏休みが終わり、そろそろ新学期が始まりますね。楽しみな子もいれば憂鬱な子もいると思います。
9月1日は中高生の自殺が一番多い日です。いじめや不登校など様々な理由から学校に行くのが嫌で嫌で一番悲しい選択をしてしまう子がたくさんいます。
ニュースを聞く度に死ぬ前になんとかならなかったのかと、とても悲しくてやりきれない気持ちになります。
その子にとっては他の手段がわからなくなったり、見えなくなったりして生きていられる限界を超えてしまったのかと思うと本当に胸が痛いです。
今この瞬間も悩んでいる子、それを心配している親御さんがいるはずです。
学校に行くのが嫌だったり、怖かったりして死ぬほど行きたくないなら、行く必要は全くないと元教師だからこそ思う理由をまとめました。
辞めた私だからこそ、現役の教師がなかなか口に出して言えないことも言えるのです!!
・新学期に学校へ死ぬほど行きたくないお子さん
・お子さんの様子が心配な親御さん
・小さいお子さんがいる親御さん
目次
理由その1 義務教育という言葉には勘違いがあるから
義務教育という言葉について、子どもは学校に通う義務があるんだから学校には行くべきだ、義務教育なのに子どもを学校に通わせないなんて親は義務違反だと思っている方もいます。
まず、その思い込みから開放されましょう。
~学校教育法や日本国憲法で言われていることを簡単に書くと~
『子どもには教育を受ける義務があるのではなく、教育を受ける権利がある』
『親は子どもを学校に通わせる義務がある』
ただし、義務教育を受けるかどうかを決めるのは子どもの権利であり、子どもがそれを受けたくない場合は親の義務違反にはならない。
親が義務教育段階にある子どもを学校に通わせない場合、罰則があると法律で定められています。
しかし、それは例えば子どもが小中学校に行きたいのに労働させたり、虐待したりして行かせない場合などです。
子どもが学校に行きたくても病気やいじめ、不登校などの理由があって学校に行けない場合は親の義務違反とはならないのです。
さらに義務教育である公立の小中学校は出席していなくても卒業できます。
法律で小中学校の卒業に関しての出席日数は定められていません。校長が認めれば卒業できます。考えが古くて認めない校長の場合は教育委員会や各フリースクールなど他に相談する場所があるので力を借りましょう。
死にたいほど行きたくないなら、欠席しても法律違反にならないから安心しよう!
子どもさんへ⇒あなたは自分の学びたい方法で学ぶことができるよ。それは今行っている学校でなくてもいいんだよ。小中学校なら行かなくても卒業できるんだ。
親御さんへ⇒お子さんが、今の学校に行かなくてもあなたは罰せられませんし、親としての義務を果たしていないことにはなりません。他の方法で教育を受けられるようにお子さんと一緒に考えていきましょう。
理由その2 いじめが原因なら欠席して自分を守るべきだから
死にたくなるほどのいじめが存在する理由
いじめはどこでも誰でも経験したり、現在も進行したりしています。
それを本人が訴えたり、友人や親、教師が気付いたり、学校が早めに対処したりすれば死にたくなるほどのいじめにはならないはずです。
大なり小なりいじめたり、いじめられたりしたことがある人は多いと思いますが、死にたくなる程いじめが発展してしまうのはなぜでしょうか?
①常識や正常な倫理観を全く持たない人間は他人のことを思いやれない
世の中からなくならない事件の犯罪者を想像してください。犯罪者に法律や正義、常識は通用しません。普通の感覚を持っている人からは考えられないような残酷なことをします。被害者の気持ちを思いやる想像性が欠如しています。
なぜそのようなことが出来るのかは、病気、生育歴、性格、親の影響など様々な原因がありますが、実際に平気で残酷なことが出来る人がいるのは事実です。
残念ながらそういう子どもや親はいます。相手が死にたくなるほどのいじめをする人には常識は全く通用しません。
こういう人達からターゲットにされたら、逃げるべきです。常識は通用しないし、エスカレートする可能性もあります。
②教師や学校は完璧ではないので、悩んでいる子を守りきれない場合もあるから
①いじめを防ごうと常に意識して努力している、感度が高い教師
②多少のいざこざは子ども同士のことだからと様子を見る教師
③いじめに対する感度が鈍くて、子ども同士のトラブルに気が付きにくい。トラブルに気が付いても指導ができない。
④見て見ぬふりをする教師
⑤知らないうちにいじめる側に加担している教師
以上のタイプ分けは私の経験に基づいたものです。私の感覚では①と②の間くらいの教師がほとんどだと思います。
③~⑤に当てはまる教師はあまりいませんが、割合的にどこの学校にもいずれか一人位は居るイメージです。③~⑤に当てはまる教師が担任でいじめが起きた場合深刻化する可能性もあります。
ほとんどの教師はいじめは許されない、絶対に許さないという理念を持っているので、日々いじめの防止や子ども達への指導や努力を続けています。
日常的に小さなトラブルがあっても、被害者の子が死にたくなる程のいじめになるまで放おっておくことはないのが通常です。
また、いじめが発覚した場合でも、悩んでいる被害者のことを全力で守ろうとする教師や学校がほとんどです。
それでも、死にたくなるほどのいじめが発覚する状況とは?
・先述した③~⑤に当てはまる教師が担任でこじれてしまった場合
・常識や正常な倫理観を全く持たない人達のターゲットになったりした場合、また、学級がそれに流されやすい集団になったりした場合
・いじめる側の保護者も常識や正常な倫理観を全く持たない場合
・あまり悪気はないけれど、規範意識が薄い子ども達の間で、目に見えないSNSやネット上で一気にいじめが加速した場合
・いじめのニュースで出てくるような学校だった場合(学校全体がいじめに鈍かったり、体面ばかりを気にしていたり、校長の考えがおかしかったりする場合)
・周りにいじめに気が付く子どもや大人がいなかった場合
などなど・・・。
様々な状況が複雑に絡み合って酷いいじめに発展していきます。教師や学校、関係諸機関がいじめで悩んでいる子を守りきれず、命の危険に晒されます。
こういう状況のなか、いじめと戦おう、解決しようとするのではなくまずは自分の、我が子の身を守るべきです。我慢して子どもが命を削る場所に行く必要はありません。
傷ついた心のケアを最優先して、今後のことは周りの大人がサポートしつつゆっくり考えていきましょう。
真面目な子程悩み、学校に行かなくてならないという義務感もあるので、欠席したいという気持ちを一番に尊重して援護して親御さんや周りの大人達で全力で守っていきましょう。
いじめと戦ったり、悩んだりする必要はありません。いじめる人がおかしいです。後のことは大人に任せましょう。心底疲れ果てて全てが消耗するだけです。堂々と欠席しましょう。自分の心と身体を守りましょう。
人の目なんか気にすることはありません。みんな段々と忘れていきます。だって、みんな自分のことで忙しいんです。側にいない他人のことまで考える暇はないくらい必死です。
たった何人?何十人?のせいであなたの大事な命が奪われる必要はありません。これから出会う人がたくさんいます。いつか素敵なことが待っています。
これからのことは休んで落ち着いてからじっくり考えましょう。
理由その3 学校以外にも教育を受けられる選択肢はたくさんあるから
『教育機会確保法』不登校をサポートしていこうとする法律
学校では勉強や社会に出てから必要な事、人間関係など様々なことを学びます。しかし、日本では前項で述べたいじめやその他の様々な原因から不登校の子どもがたくさんいます。
不登校の子は新学期が始まる前に、このまま学校を休んでいて良いのかという大きなプレッシャーと直面します。そのプレッシャーに押しつぶされて死を選んでしまう子どももいます。
そんな不登校の子どもや家族のために、2017年に『教育機会確保法』が施工されました。大変分かりやすい記事があるので抜粋して紹介します。抜粋なので以下の出典リンクより全文をご覧ください。
「教育機会確保法 不登校対策は」(くらし☆解説)
2017年02月21日 (火)西川 龍一 解説委員
Q.どんな法律なんですか?
A.不登校の子どもたちは、基本的に学校に行かなかったり、行けなかったりする状態が続いています。こうした子どもたちが教育を受ける機会を確保するための施策を国や自治体の責務として、必要な財政上の措置を講じることを求めています。ただ、支援などの具体的な中身はこれからです。
Q.どうしてこんな法律ができたのですか?
A.不登校の子どもたちが一向に減らないという現状があります。文部科学省の調査によると、昨年度、病気と経済的な理由を除いて30日以上学校を欠席した不登校の小中学生は、12万6000人を超えています。小中学校とも子どもの数は減っているのに、3年連続で増加していて、中学生はクラスに1人は不登校の生徒がいる状態で、高止まりが続いています。中でも90日以上と長期間学校を休んでいる子どもが7万2000人あまりと全体の6割近くに上っているんです。原因は、いじめなどの学校でのトラブルや、勉強の問題、期待に応えようと頑張りすぎて疲れてしまったなど様々です。
Q.そうした子どもたちは、どうやって過ごしているんですか?
A.教育支援センターといった教育委員会などが設置する公的な施設に通う子がおよそ6万人います。残る半分の不登校の子どもたちの中には自宅にいる子もいるわけですが、多くを引き受けているのが民間のフリースクールという施設です。
元々、法律の出発点は、多くの子どもたちが通っているという現実を踏まえて、フリースクールなどの位置づけを考えようというものでした。Q.そうなるとこの法律には、どんな意味があるのでしょうか?
A.教育機会確保法には、2つのキーワードがあります。
「休んでもよい」ということ。「学校以外の場の重要性」を認めたことです。この2つのキーワードを活かすことが子どもたちを取り巻く環境を変えることにつながります。出典 NHK解説委員室「教育機会確保法 不登校対策は」(くらし☆解説)
子どもはまだ行動範囲が狭いので、生活の大部分を占める学校を欠席することに大きな不安を覚えますし、欠席するのは大きな勇気が必要です。これは当然のことです。その不安をどうしたら解いていくことができるのか。
それを子どもだけで見つけるのは難しいので、大人が一緒になって考えていきましょう。
学校以外に学ぶ場所は色々ある!
不登校の子どもの増加に伴い、義務教育学校以外の学びの場が増えています。
公立・・・無料、費用は安い
・教育支援センターや適応指導教室 ・15歳以上なら夜間中学
・動画
民間・・・有料
・塾や家庭教師
・フリースクール、ホームスクール
・通信教育 など
学校以外にも自分が安心して教育を受ける場所や方法は、現代ならいくらでも見つかります。法律の後押しもありますし、以前より欠席しやすい社会になりつつあります。
理由はどうあれ死にたいほど行きたくない学校なら行かなくていいよ。あなたの命を守ることが一番大事!
勉強はやり方しだいでどうにでもなるよ(こんなこと教師時代、声を大にして言えなかったけど・・・)。
長期欠席するのは不安だけど、ゆっくりで良いから他の方法を探してみよう♪
昨年亡くなられた樹木希林さんからのメッセージが心に響いたので紹介します。
9月1日は子ども自殺最多 樹木希林さんからのメッセージ
2017年11月01日 14:33 by koguma新学期が始まる日、まわりのみんなが「おはよう、今日から学校だね」って笑顔で言葉を交わすとき、「私は学校に行きたくない」ということを考える気持ち、何となくわかります。だから思うの、そう思うこと、それはそれでいいじゃないって。
私は小さいとき、自閉傾向の強い子どもでね、じっと人のことを観察してた。学校に行かない日もあったけど、父は決まって「行かなくてもいいよ、それよりこっちにおいで、こっちにおいで」って言ってくれたの。だから、私の子どもがそういうことになったら、父と同じことを言うと思う。それにね、学校に行かないからって、何もしないわけじゃないでしょう。人間にはどんなにつまらないことでも「役目」というのがあるの。「お役目ご苦労様」と言ってもらえると、大人だってうれしいでしょう。子どもだったら、とくにやる気が出るんじゃないかな。ただね「ずっと不登校でいる」というのは子ども自身、すごく辛抱がいることだと思う。うちの夫がある日、こう言ったの。「お前な、グレるってのはたいへんなんだぞ。すごいエネルギーがいるんだ。そして、グレ続けるっていうのも苦しいんだぞ」って。ある意味で、不登校もそうなんじゃないかと思うの。学校には行かないかもしれないけど、自分が存在することで、他人や世の中をちょっとウキウキさせることができるものと出会える。そういう機会って絶対訪れます。私が劇団に入ったのは18歳のとき。全然必要とされない役者だった。美人でもないし、配役だって「通行人A」とかそんなのばっかり。でも、その役者という仕事を50年以上、続けてこられたの。だから、9月1日がイヤだなって思ったら、自殺するより、もうちょっとだけ待っていてほしいの。そして、世の中をこう、じっと見ててほしいのね。あなたを必要としてくれる人や物が見つかるから。だって、世の中に必要のない人間なんていないんだから。私も全身にガンを患ったけれど、大丈夫。私みたいに歳をとれば、ガンとか脳卒中とか、死ぬ理由はいっぱいあるから。無理して、いま死ななくていいじゃない。だからさ、それまでずっと居てよ、フラフラとさ。2015年8月22日・登校拒否・不登校を考える全国合宿in山口/基調講演「私の中の当り前」より(編集:小熊広宣)出典 不登校新聞 9月1日は子ども自殺最多 樹木希林からのメッセージ
日ごろから愛を込めたメッセージを伝えつつ、新学期前のお子さんの様子を見守りましょう
思春期の子どもに、親が根堀葉掘り聞いてもほとんどの子はあまり答えてくれません。それは時に逆効果になります。
子どもは親に心配をかけたくないと感じています。そして、思春期にもなると親の前で弱音は吐きたくない、恥ずかしい、親には色々なことを知られたくないなどさらに複雑になっていきます。
いくら反抗していても子どもは大人が想像できないくらい弱い面があるんです。
教師時代、普段自信満々な子が友達にちょっと言われただけで、心底落ち込み泣いてる姿を何度も見てきました。
しかも、割と簡単に『もう、死にたい。』って言います。それは本心ではないかもしれないけれど、助けを求めている気持ちの表れです。
寄り添いながら、心配な様子がないかよく見ていきましょう。
辛いことがあったときに、子どもにとって拠り所となるものは色々あります。普段はあまり口をきかなくても、あまり理解できていなくても親の愛情は子どもの本能が感じています。
うざがられても、嫌がられてもいつまでもお子さんの様子を気にかけて、お子さんがどれだけ家族にとって大切な存在であるかを伝えていきましょう。親の気持ちと愛だけは言葉や態度、時には手紙などで伝えていきましょう。
小さなお子さんがいる親御さんへ
私には4歳の娘がいますが、毎日娘の存在がどれだけ大切で大好きかを伝えています。
娘が将来、いじめや不登校、新学期に向けて死を選ぶ子どもがいることを知る時が来る前に、愛情の芽にたくさんの栄養をあげていきたいです。
そして、そういう悲しい現実を知ったとき、もしくは辛い状況に立たされたときは言います。
もし、辛すぎるほど学校に行きたくないなら、学校なんて休もうよ。辞めていいし、転校してもいいし、好きなことしよう。私は100%あなたの味方だよ。
一緒に旅に出ようよ。世界を見たら、自分を今苦しめているものなんて忘れるからさ。世界はすごく広くて驚きがいっぱいなんだよ。
そして、これからのことはその後考えればいいよ。
あなたの命ほど大事なものはないんだから。
まとめ
今、この瞬間にも苦しんでいる子どもがいます。そういう子ども達を少しでも減らすために私達は何が出来るでしょうか?
まずは自分の子どもを大切にしていこう、私は元教師だから少しずつ何か行動していこうと計画しています。
今回の記事はタイトルに悩みましたが、もし今苦しんでいる子どもや親御さんが検索してくれ、少しでも届いたらと思ってつけました。
この記事を読んで、少しでも誰かのお役に立てたらと願います。
フォローお待ちしております
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